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海老原輝男歌集『こころの栞』

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『月と歩く』に次ぐ第二歌集。

 月の出ぬ庭にほんのり芳しき香りを放つくちなしの花
早朝の新鮮な空気の中で、くちなしの花を感じる鋭敏な感覚の佳作である。(中根 誠)
入盆に家紋うつれる提灯を持ちて先祖のお迎えをする
都会ではもうあまり見られなくなった風習だが、今となってはこういう心の故郷を持っている人は羨ましい。(久々湊盈子)

【6首選】
山隠す雨の降りいる恋瀬川茂れる葦に釣舟黒し
妻から外した結婚指輪を握りしめ手術の時間を無言で待ちたり
生家近く佐兵衛・吉兵衛・長左衛門の屋号がありて今も呼び合う
夕日あび農婦の被る手拭が光るや母の面影が顕(た)つ
戦争の最中に育ちしわれなるも銃も持たずに米寿となりぬ
生き甲斐は「誰かに必要とされる事」マザーテレサの言葉かみしむ

栞文:中根誠・久々湊盈子
装幀:倉本修

2026年10月18日発行
四六判上製カバー装170頁

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